「えるぼし認定」-女性活躍推進企業の認定証

皆さん、下記のマークはご存じですか?

これは「えるぼし認定」マークです。 

「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。2020年6月より、従来の「えるぼし」認定よりも上位の認定制度である「プラチナえるぼし認定」が創設されました。

ご存じの通り、日本社会では女性がライフステージの変化を機に仕事を辞める方が多いです。そして少子高齢化によって人手不足や労働力不足が顕在化する中、企業活動を支える十分な働き手を確保する必要があります。そのために女性社員の離職率を減らし優秀な人材流出を防止するために、政府は働きたい女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して女性活躍推進法を成立させました。

今回は女性活躍推進法の内容を踏まえつつ、企業が働き改革の一つとしてえるぼし認定の認定を受けるメリットや基準についてご紹介します。

(参考)厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)

えるぼしの認定基準

えるぼし認定基準は5つの評価項目が定められています。

1.採用

企業の採用活動における評価項目です。応募者数を採用者数で割った「競争倍率」が、男女別で同等であること。「えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」の評価基準は同じです。

2.継続就業

企業の継続雇用における評価項目です。基準は以下の2つがあり、どちらか満たしていればよいとされています。

  1. 「女性労働者の平均継続勤務年数」÷「男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ7割以上(プラチナえるぼし認定は8割以上)であること。期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る。
  2. 「女性労働者の継続雇用割合」÷「男性労働者の継続雇用割合」が 雇用管理区分ごとにそれぞれ8割以上(プラチナえるぼし認定は9割以上)であること。継続雇用割合は、10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者(新規学卒者等に限る。)のうち継続して雇用されている者 の割合。

女性が結婚・出産でライフステージが変わる時、家庭と仕事の両立が困難になるケースが多い。この評価が高ければ、女性が出産後継続就業や長く働ける職場であることを示します。

3.労働時間等の働き方

労働時間における評価項目です。雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること。「えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」の評価基準は同じです。

すなわち残業時間や休日出勤が多すぎる企業は、この評価を満たすことができません。

4.管理職比率

女性が管理職の占める割合における評価項目です。「えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」はそれぞれの基準があります。

「えるぼし認定」は次の2つ基準があり、いずれか満たせばよいとされています。

  1. 直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること。
  2. 「直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した女性労働者の割合」÷「直近3事業年度の平均した1つ下位の職階から課長級に昇進した男性労働者の割合」が8割以上であること。 

「プラチナえるぼし認定」は直近の事業年度において、管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上であること。

女性管理職の登用は女性に対して積極的に機会を与える取り組みであり、女性活躍推進の重要な一歩です。

5.多様なキャリアコース

女性のワークライフバランスのために、多様なキャリアコースが用意されているかの評価項目です。項目は以下の4つがあり、直近の3事業年度に、大企業については2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)、中小企業については1項目以上の実績を有すること。

  1. 女性の非正社員から正社員への転換
  2. 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  3. 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
  4. おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

 「えるぼし認定」と「プラチナえるぼし認定」の評価基準は同じです。

出産・育児・介護のために、職場を離れ、正社員として継続して働きにくい、キャリアアップできない等という企業の場合、この評価を満たすことができません。

えるぼし認定の段階

「えるぼし認定」の段階は3段階あり、上記5つの評価項目のうち、基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階が決まります。

また、「プラチナえるぼし認定」を受けるためには、「えるぼし認定」(3段階のうちのいずれか)を受けているほかに、下記の要件を満たしている必要があります。

えるぼし認定を受ける企業のメリット

えるぼし認定を受ける企業に対して、様々なメリットがあります。

○女性が活躍できる会社は社内外のイメージと認知度を向上できる

「えるぼし認定」を受けると、認定マークが付与されます。会社の宣伝や自社商品、求人広告などに利用できます。女性が活躍できる企業として、既存の女性社員は安心して働けます。新規求人にもアピールでき、応募者が増え優秀な人材が集まりやすい一方で、会社のイメージや認知度をアップでき、業績にもつながるでしょう。

○公共調達で有利になる

各府省等が総合評価落札方式又は企画競争による調達によって公共調達を実施する場合は、女性活躍推進法に基づく認定企業(えるぼし認定企業)などを加点評価するよう定められています。

引用:男女共同参画局「女性の活躍加速のためのワーク・ライフ・バランス等を推進する企業を公共調達等において評価する取組について

「えるぼし認定」は段階により、「くるみん認定」や「ユースエール認定」よりも加点が高くなる場合もあるため、同じ条件で異なる認定を受けている際などは、公共調達を優位に進めることができるでしょう。

○両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)を活用できる

まず女性活躍推進法に沿って、女性社員の活躍に関する課題解決に相応しい数値目標とその達成に向けた取組目標を盛り込んだ一般事業主行動計画の策定・公表等を行う必要があります。その上で行動計画に盛り込んだ取組内容を実施(=「取組目標」を達成)し、3年以内に数値目標を達成した場合事業主に助成金を支給されます。

支給額:47.5万円<60万円> 1事業主1回限り
対象事業主:常時雇用する労働者が300人以下の事業主

○低利融資制度を利用できる

「えるぼし」認定を取得した中小企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を通常よりも低金利で利用することができるというものです。融資希望がある企業に対して、大きなメリットとなります。

認定を取得した企業数

「えるぼし認定」の企業数は、厚生労働省が発表した最新の情報(2021年12月31日付)によると、全国で1601社、「プラチナえるぼし認定」の企業数は23社となっています。

最新の認定企業数や認定企業一覧は、厚生労働省の女性活躍推進法への取組状況ページからご確認いただけます。

まとめ

えるぼし認定とは、厚生労働省が認定する女性活躍推進企業への認定制度です。少子高齢化により、人手不足が深刻化していることから、政府は女性が働きやすい職場環境を整えることを求めています。
認定を取得すると、企業側には優秀な人材を確保できる一方で、知名度の向上や公共調達などに様々なメリットがあります。今後は益々女性が輝いて活躍できる職場づくりを目指していきましょう。

福利厚生の導入・充実に悩んでいませんか
ユニークな福利厚生なら「おかねの保健室」にご相談ください

おかねの保健室とは?

  • 介護離職
  • 将来への不安
  • 環境による働き方の変化 など、

従業員様のライフプランに対する心配事にお金のプロであるFPが、ご相談に乗ることで安心感のある働きやすい環境作りをサポートします。

「おかねの保健室」でできること

こんな企業様の
お悩みを解決します

ランニングコストを抑えて、福利厚生を充実させたい

他社にないめずらしい福利厚生を探している

従業員のモチベーションの上がる福利厚生はないかな?

色んな制度を準備しているが、いまいち活用してもらえない

こんな従業員様の
ご相談に対応します

いまの働き方やお給料のままでやっていけるか心配

会社が導入している確定拠出年金制度。分からず放置しているけど、せっかくだから活用してみたい

親の介護が必要になってしまった!どうしたらいい?

定年退職したら、どれくらい退職金や年金をもらえるんだろう

こんなことを
サポートしていきます

従業員様のお金の不安を解決することで、安心感のある働きやすい環境作り

従業員様のライフプランを大切にする会社であると
伝えることで、従業員様とのエンゲージメント強化

「この会社にいればライフプランを達成できる」
と感じてもらうことで、従業員様の働きがい向上

あなたの会社に「おかねの保健室」を作りませんか?

Follow me!

The following two tabs change content below.
傅禕婷

傅禕婷

上海出身、東京都在住。上海の大学を卒業後、日系の広告代理店に9年間勤務。2015年に来日、結婚をきっかけに、家計管理を任された。その時から、日本の税制や保険などに興味を持ち始めた。 お金の知識を豊富にしたく、世の中の複雑な経済の仕組みを知りたいため、FP2級を取得。今後はFP1級やCFPも目指している。現在はインバンド業界に従事しながら、FPとしても活動中。

前の記事

女性活躍推進法について