介護離職をする前に… 知っておきたい「遠距離介護」

目次
増え続ける介護離職
仕事と介護の両立が困難になり、離職をする「介護離職」が増えています。
介護や看護を理由とした離職者数は2009年は4.6万人でしたが、2019年には約10万人と2倍以上に増加しました。
(出典)厚生労働省「雇用動向調査」
働き盛りの40歳代~50歳代に、突然、親の介護をしなければいけなくなったら…
介護が必要な親が遠方に住んでいたら…
あなたならどうしますか?
選択肢はたくさんあった方が良い
親の介護が必要になったときいくつかの選択肢がありますが、すぐに思い浮かぶのは「在宅介護」「施設介護」ではないでしょうか。
親が遠方に住んでいる場合は、自分が離職し親の元へ帰るという選択肢や、親を呼び寄せるという選択肢もあります。
しかし自分も親も住み慣れた土地を離れ、遠方で新たに生活をスタートさせるのは勇気が必要なこと。
そんな時、選択肢の一つとして遠距離介護があります。
遠距離介護とは離れて暮らす親がなるべく自立して暮らせるよう、遠隔からサポートすることです。
遠距離介護のメリット・デメリット
メリット
親も介護する側も住み慣れた場所から離れなくて良い。
介護離職をしてしまった場合、再就職が難しいことや、再就職できても前職より収入が下がってしまうことがあります。遠距離介護だと、今の生活を大きく変えることなく介護をすることができます。
介護する側のストレスが少ない
在宅介護だと24時間介護中心の生活になり、なかなか気が休まらず、心身ともに負担が大きくなります。遠距離介護ならそのようなストレスも軽減できるでしょう。
介護保険サービスが利用しやすい
要介護度が進み施設の利用を検討する時、遠距離での生活環境が考慮されて特別養護老人ホームへの入所の優先順位が高くなることがあります。
デメリット
緊急時にすぐ対応することが難しい
急な体調不良や転倒、災害時など、離れた所に住んでいるので対応が難しくなります。
費用負担が大きい
帰省にかかる交通費や、電話代、通信費などがかかります。
悪徳商法や詐欺の被害を防ぎにくい
久しぶりに帰省してみたら、通帳の残高が大きく減っている…
認知症などが入ってくると、知らない間に金融商品購入や悪徳商法に引っ掛かっている場合もあります。
一緒に暮らしていれば認知症の兆候や怪しいセールスにも対処できますが、遠距離介護だとなかなか気がつきにくいという一面があります。
遠距離介護に活用したいツールやサービス
遠距離介護では親と離れて暮らすことになるため、どうしても親の状況が見えないという側面があります。その対策として遠距離介護をサポートしてくれる便利なツールやサービスが多くあります。
見守りポット
電気ポットの使用状況を遠方から確認することができる。カメラと違い、見張られているストレスを感じない。
Wi-Fiプラグ
テレビなどのよく使用する家電のコンセントをWi-Fiプラグに差し込むことで、電力の使用状況を確認することができます。
見守りカメラ
動体検知機能や温度センサー、首振り機能、通話機能、赤外線・暗視カメラが付いている物もあり、スマホでいつでも様子がみられ、安心です。
スマートリモコン
エアコンやテレビの遠隔操作ができます。
高齢になると、熱中症になるほど気温が高くてもエアコンを使わなかったり、真冬でも薄着だったり、だんだん温度に鈍感になります。そんな時、遠隔から親の自宅のエアコンをつけ、熱中症を防止することができます。
緊急通報システム
民間の警備会社や自治体などと契約し、急な体調不良や転倒など、万が一があった時に専用端末から警備会社や消防などに連絡されます。
安否確認サービス
最近ではふるさと納税の返礼品として安否確認サービスを導入している自治体もあります。その他、弁当や乳酸菌飲料、牛乳などの乳製品を宅配時に安否確認をしたり、野菜の宅配サービス、ゴミ出し代行サービス、郵便局員が定期的に訪問してくれるサービスなど、様々な安否確認サービスがあります。
飛行機の介護割引
帰省時に飛行機を利用する場合は、帰省回数が多くなるほど交通費の負担が大きくなります。その対策として各航空会社の「介護割引」を利用することができます。
利用時期:年末年始やお盆期間など繁忙期以外の通常期
利用対象者:「二等親以内の親族(満12歳以上)」「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」など、一定範囲の親族。
申請:介護保険被保険者証や戸籍謄本などの必要書類を準備し、カウンターや郵送、インターネットで申請することができます。
まとめ
今回は介護の選択肢の一つである「遠距離介護」について解説しました。
一つでも多くの選択肢を知ることで、今後の選択が変わってきます。
上記の通り、便利なツールやサービスもありますが、それ以外にも、親の居住する自治体で受けられるサービスや地域のボランティア、民間企業のサービス、地域の特性、かかりつけ医などをあらかじめ調べておくと良いでしょう。
介護する側も、自分の勤める会社に介護休暇などの制度があるか、確認しておきましょう。
介護する側に、兄弟姉妹がいる場合も、誰がどんな役割をするか、何ができて、何ができないのか、前もって話し合っておくと、いざという時スムーズに対応できます。
介護にはネガティブなイメージを持つ人が多いと思いますが、介護をきっかけに、親の生活パターンやご近所づきあいなどの人間関係、親の希望など、親とじっくり話す良い機会になると思います。
これを機に、一度親とじっくり話してみてはいかがでしょうか。
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宮田千賀子

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