派遣社員でも介護休業は取得可能?
派遣社員として勤務される方の中には、自分の親や配偶者の介護が必要になり休業を申し出た場合、派遣契約を切られたり、更新されないのではと不安に思う方もいらっしゃると思います。
ですが介護休業は正規雇用、非正規雇用関係なく取得できる制度です。しっかり理解を深めて、自身の人生設計に役立てていきましょう。
目次
介護休業について
介護休業は、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための制度です。
介護が必要となる対象家族1人につき3回まで、通算して93日まで休業できます。
対象家族の範囲は配偶者、両親、子、配偶者の両親だけでなく、祖父母、兄弟姉妹、孫まで及びます。
また介護休業給付金申請をして承認されるとハローワークより介護休業給付金が支払われます。
派遣社員が介護休業を取得するための要件
- 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く)
- 取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。
※「その事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること」の要件は、令和4年4月1日以降は廃止されることになりました。
派遣の契約が2か月更新…制度は利用できない?
派遣社員の中には、2,3か月ごとの更新で就業契約されている方も多いと思います。
契約書に原則更新や更新の可能性ありと記載されていたり、担当者から口頭で契約継続の案内がある場合、「契約期間が満了し更新されないことが明らか」にはあたらないので、制度を利用することが可能です。
逆に、スポット契約のように「〇月〇日で契約終了」と明確に記されていたり、契約は2回更新までと予め決まっていれば制度は利用できないということになります。
また、労使協定を締結している場合、入社1年未満の労働者や申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者に該当する場合は取得対象外となる可能性があるので、派遣会社に確認することが大切です。
手続き方法について
申出は、就業先企業の担当者ではなく、派遣会社の担当者に行います。
- 休業開始予定日の2週間前までに、書面等により派遣会社に申し出る。
- 休業終了予定日の2週間前までに申し出でれば、1回に限り通算日数の93日を限度として事由を問わず休業終了予定日を繰下げ変更可能。
派遣会社によっては、所定の用紙があるので担当者に問い合わせてください。
もし決まっていない場合は、厚生労働省のHPに様式例がアップロードされていますので参考にしてください。
(参考)厚生労働省 介護制度HP
制度利用中の介護休業給付金について
派遣社員の場合でも、雇用保険の被保険者で要件を満たす方は介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
こちらも派遣会社の担当者に申し出て、派遣会社を通じてハローワークにて手続きを行います。本人の希望があれば自身でも手続きが可能です。
介護休業給付金の支給要件
給付金が支給されるには下記要件があります。
- 介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月以上あること。(介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月ない場合であっても、当該期間中に本人の疾病等がある場合は、受給要件が緩和され、受給要件を満たすこともあり。)
- 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでないこと。
※介護休業取得要件の緩和に伴い、令和4年4月1日以降は同一の事業主の下で1年以上雇用が継続していることの条件は廃止となります。
ここでいう「被保険者期間12か月」というのは、暦の上での1か月ではなく、介護休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日ある月となります。
日給、時給制の場合、年末年始などの長期休みや有給以外の欠勤で、1か月の賃金支払基礎日数が11日以下になってしまうと1か月にカウントされないのでご注意ください。
制度利用中の社会保険料について
産前産後休業期間中や、育児休業期間中については保険料が免除になりますが、介護休業期間については社会保険料の免除はありません。
休業期間中の標準報酬月額は、休業前と同額で計算され、保険料も休業前と同じく派遣会社と本人が折半して支払う必要があります。
まとめ
今回は派遣社員の介護休業についてご案内させていただきました。
介護離職が問題となっている今、派遣社員も貴重な人材であることは間違いありません。
制度をうまく活用して、介護を理由に不本意な離職がなくなるようにしたいですね。
また、厚生労働省では介護休業取得時には自分が介護を行うだけでなく、仕事と介護を両立できる体制を整えることを推奨しています。
一人で抱え込まずに、介護サービスの手配をしたり、ケアマネージャーや家族と話し合うなどして制度やサービスをうまく活用していきましょう。
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熊本恵美
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